令和元年10月から開始となる幼児教育・保育の無償化。
いわゆる幼稚園・保育園・認定こども園などの保育料が無料となる制度です。
でも、細かい条件があったり、分かりにくいところもありますので、この機会にまとめてみます。
確実に押さえておきたいポイントは、
- 保育所(保育園)・認定こども園は2号3号認定を受けられれば保育料全額無償
- 幼稚園は全額無償化のところと25,700円/月まで無償化のところの2種類がある
- 預かり保育は2号認定を受けたお子さんのみ11,300円/月まで無償
- 無償化の対象は保育料のみ、バス代・給食費などは対象外
の4つです。
この記事は、内閣が発表している内容や、自治体の情報などを元に書いていまが、未決定の部分や自治体によって運用が異なる情報もあります。
そのため、この記事では基礎知識だけ覚えていただいて、詳しくはお住いの自治体や幼稚園などの施設に相談するようにしていただくといいかと思います。
詳しくは住んでいる自治体・もしくは幼稚園などの施設に確認しましょう。
幼稚園・保育園の無償化のために1号認定・2号認定・3号認定を理解する
まずはじめに、無償化の制度を知るには、1号認定・2号認定・3号認定のことを知っておく必要があります。
これらは、お子さんひとりひとりに対して国と自治体が決めた基準によって認定がつくもので、たとえば長男が2号認定で、次男が3号認定、ということもあります。
お子さんの年齢やご自身の環境によって1号認定か2号認定か3号認定か分かれるので、お子さんがどの認定を受けられるのかを把握しましょう。
ここから先の説明には、「保育を必要とする事由に該当する」という言葉が出てきます。
後で詳しく説明しますが、まずは「両親が共働きである」と読み替えてください。
- お子さんの年齢が3歳から5歳
- 保育を必要とする事由に該当しない(共働きでない)
- お子さんの年齢が3歳から5歳
- 保育を必要とする事由に該当する(共働き)
(条件により最大8時間保育の認定か、最大11時間保育の認定に分かれます)
- お子さんの年齢が0歳から2歳
- 保育を必要とする事由に該当する(共働き)
- 住民税非課税世帯
(条件により最大8時間保育の認定か、最大11時間保育の認定に分かれます)
簡単ですね。
ざっくりいうと、お子さんが3歳以上の場合、専業主婦なら1号認定、共働きなら2号認定です。
3号認定は0歳から2歳までのお子さんの場合のみです。
※0歳から1歳のお子さんがいらっしゃる方は、育児休暇についても知っておくといいと思います。
ここで一つ注意。
3歳から5歳という年齢区分は、満3歳になってはじめての4月1日を経過した子どものことを指します。
つまり、2019年10月の幼稚園・保育園の無償化制度開始時点では、2016年3月31日までの誕生日のお子さんが対象となります。
間違えないように気をつけましょう。
保育を必要とする事由って?
次に「保育を必要とする事由」について、少し詳しく書きたいと思います。
文字通り、子どもが保育される必要がある状態かどうかについてです。
「我が家は子どもが保育される必要がある家庭です」とお住いの自治体に申請して、審査の結果認められれば保育を必要とする事由に該当するという認定がもらえます。
・・・長いですね。なのでこの記事では「保育必要認定」と書くことにします。
保育必要認定が下りなければ、2号認定・3号認定を受けることはできません。
国が決めている「保育を必要とする事由」は、下に書いてある通りです。
- 就労(フルタイム・パートタイム・夜間・居宅の労働など)
- 妊娠・出産
- 保護者の疾病、傷害
- 同居又は長期入院等している親族の介護・看護
- 災害復旧
- 求職活動
- 就学
- 虐待・DVのおそれがある
- 育休取得中にすでに保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
- その他市町村が認める場合
このうち「就労」、つまり「共働きの状態」が保育を必要とする事由になるケースが多いかと思いますので、この点を詳しく説明します。
まずは、両親のうち、働いている時間が短い方の“1か月で働いている時間“を計算してみてください。
多くのご家庭では、父親がフルタイムで働いていると思いますので、その場合は母親が一月で働いている時間を計算してみましょう。
父親もしくは母親のみの場合は、その方の働いている時間でOKです。
どうでしょう、だいたいの時間は計算できましたか?
働いている時間によって保育必要認定を受けられるかどうか・何時間まで子どもを無償で預けられるかが決まります。
働く時間が短ければ保育を受ける必要はない、と判断されるということですね。
さらに、働いている時間の長さによって、最大8時間の保育料が無償になる場合と、最大11時間の保育料が無償になる場合に分かれます。
この最大8時間のことを「保育短時間」、最大11時間のことを「保育標準時間」といいます。
言い方を変えると、働く時間の長さによって、
- 保育必要認定を受けられない
- 保育必要認定(短時間)の認定
- 保育必要認定(標準時間)の認定
のどれかに分類されます。
そして、認定された保育の必要な時間の長さを最大として、保育料が無償となります。
じゃあ、どれだけの長さの時間働いていれば認定を受けられるの?ということになりますが、その基準は国と市町村が決めます。
ざっくり言うと、少なくとも月に64時間以上働きに出ていれば、保育短時間(8時間)の認定がもらえます。
さらに月に120時間以上働きに出ていれば、保育標準時間(11時間)の保育を必要とすると認められます。
働いている時間が・・・
- 60時間/月以下なら保育必要認定はおりない
- 60時間~120時間/月なら最大8時間の保育料が無償
- 120時間/月以上なら最大11時間の保育料が無償
パートタイムやアルバイトで月に100時間程度働いているのなら、もう少し頑張って120時間まで持っていきたいですね。
両親ともにフルタイムで働いていれば、保育標準時間の認定が受けられそうです。
ここで、無償化される保育時間について注意。
無償化の対象は、施設ごとに決めている通常保育時間の保育だけです。
延長保育は無償化の対象とはなりません。
例)
たとえば、通常保育時間を7:30~18:30に設定している施設に、8:30に子どもを預けて19:30に迎えに行こうとすると、18:30から19:30の1時間は延長保育になります。
延長保育は無償化の対象外なので、延長保育料を支払う必要があります。
ご自身が預けたいと思っている施設の通常保育時間と、延長保育の保育料をしっかり確認しておきましょう。
また、他の条件で保育必要認定を受ける場合にも同じ話があり、両親が家庭で子どもを見ることができない時間の長さなどによって、
- 認定を受けられない
- 保育必要認定(短時間)が下りる
- 保育必要認定(標準保育)が下りる
が決まってきます。
ここは国では細かい規定は決めておらず、各市町村に運用を任せているようなので、お住いの区市町村にご確認ください。
お子さんの年齢とご家庭の環境に合わせて、どの認定に当てはまるかが分かったら、お住いの区市町村で、認定を受ける手続きを行いましょう。
次に、ご自身のお子さんが1号認定・2号認定・3号認定のどれに当てはまるかが分かったら、次に各認定によって何が変わってくるのかを説明します。
どの認定を受けたかによって利用できる施設と無償化の額が変わる
1号認定・2号認定・3号認定のどの認定を受けたかで変わってくるのが、どの施設を利用できるかと、いくらまで無償化になるかです。
- 幼稚園
- 認定こども園
- 保育所
- 認定こども園
- 預かり保育
- 認可外保育施設等
- 保育所
- 認定こども園
- 地域型保育
- 認可外保育施設等
「2号認定を受けると幼稚園に通わせて無償化を受けることはできない?」というように見えますが、幼稚園に通わせたい場合は保育を必要とする事由を満たしていても1号認定で認定を受ければOKです。
幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育・認可外保育施設等にどのような施設があるかは、お住いの区市町村の公式HPでご確認ください。
施設によっては、無償化の対象外になる場合もあります。
桑名市の施設と保育料無償化の有無について
桑名市の場合、以下のようになっています。
何号認定だと、どの施設でどれだけの保育料が無償化になるのかを表にまとめましたので、ご自身のお子さんの認定状況と合わせてご覧ください。
施設区分 | 施設例 | 無償化対象かどうか |
---|---|---|
保育所 | 桑陽保育所・七和保育園・光陽希望が丘保育園、大山田東保育園など | 対象外 |
幼稚園(新制度移行) | 公立幼稚園・くわな・マリア・など | 保育料全額無償 |
幼稚園(新制度未移行) | コスモス・津田桑名・津田大山田など | 保育料一部無償(25,700円/月まで) |
認定こども園 | 長寿認定こども園・耕逸山たどこども園など | 保育料全額無償 |
預かり保育 | 各幼稚園の預かり保育制度、厚生館保育所・長島中部保育所(いちごルーム)・桑陽保育所(レモンルーム)など | 対象外 |
認可外保育施設等 | たつのこクラブ・あっとほーむパートナーズ・ペアきっずランド桑名など | 対象外 |
障害児通院施設 | 保育料全額無償 |
施設区分 | 施設例 | 無償化対象かどうか |
---|---|---|
保育所 | 桑陽保育所・七和保育園・光陽希望が丘保育園、大山田東保育園など | 保育料全額無償 |
幼稚園(新制度移行) | 公立幼稚園・くわな・マリアなど | 保育料全額無償(1号認定を受ける) |
幼稚園(新制度未移行) | コスモス・津田桑名・津田大山田など | 保育料一部無償(25,700円/月まで)(1号認定を受ける) |
認定こども園 | 長寿認定こども園・耕逸山たどこども園など | 保育料全額無償 |
預かり保育 | 各幼稚園の預かり保育制度、厚生館保育所・長島中部保育所(いちごルーム)・桑陽保育所(レモンルーム)など | 保育料一部無償 (11,300円/月まで) |
認可外保育施設等 | たつのこクラブ・あっとほーむパートナーズ・ペアきっずランド桑名など | 保育料一部無償 (37,000円/月まで) |
障害児通院施設 | 保育料全額無償 |
施設区分 | 施設例 | 無償化対象かどうか |
---|---|---|
保育所 | 桑陽保育所・七和保育園・光陽希望が丘保育園、大山田東保育園など | 保育料全額無償 |
幼稚園(新制度移行) | 公立幼稚園・くわな・マリアなど | 対象外 |
幼稚園(新制度未移行) | コスモス・津田桑名・津田大山田など | 対象外 |
認定こども園 | 長寿認定こども園・耕逸山たどこども園など | 保育料全額無償 |
認可外保育施設等 | たつのこクラブ・あっとほーむパートナーズ・ペアきっずランド桑名など | 保育料一部無償(42,000円/月まで) |
障害児通院施設 | 保育料全額無償 |
幼稚園は新制度に移行しているところと、移行していないところがあります。
新制度に移行していない幼稚園の保育料の無償化は、最大で25,700円/月までとなりますので、ご注意ください。
桑名市の各施設一覧
桑名市にある各施設について、一覧が掲載されているページのリンクを集めましたので、ご自身が利用したいと思っている施設を確認してみてください。
桑名市の保育所、新制度に移行している幼稚園の一覧は、こちらをご覧ください。
また、新制度に移行していない私立幼稚園の一覧は、こちらをご覧ください。
上記のリンク先で、幼稚園の名前に〇がついている施設は、新制度移行しています。
預かり保育を行ってくれる施設は、こちらをご覧ください。
上記のリンク先以外でも、幼稚園・保育園で一時預かりしてくれる施設があります。
それらに預ける場合も、保育必要認定を受けていれば、11,300円/月まで無償となります。
認可外保育施設は、こちらをご覧ください。
無償化の対象となるお金について
幼稚園・保育園の無償化とはいいますが、幼稚園や保育園に通わせるために必要なお金が全て無償になるわけではありません。
無償化の対象となるのは保育料のみで、いわゆる実費は無償化の対象外ですのでご自身で支払う必要があります。
実費で払う必要がある費用の例
- 給食費
- 通園バス代
- 各種行事費
- 教材費
私立幼稚園に入園すると、行事費や通園バス代・教材費が結構高くなので、注意したいところです。
施設と区分
幼稚園と保育所(保育園)の区別は名前にそのまま出ていることが多いので分かりやすいですが、その他の施設の区分が分かりづらいですよね。
簡単にそれぞれの施設の特徴をまとめてみました。
認定こども園
幼稚園と保育所の機能や特徴を合わせ持って、地域の子育て支援も行う施設のことです。
0歳から2歳までのお子さんの場合は、保護者が共働きや介護などで家庭で保育のできない保護者のみ利用可能です。
3歳から5歳のお子さんの場合は、保護者の働いている状況に関わりなく教育・保育を一緒に受けられます。
地域型保育
保育所よりも少人数の単位で0歳から2歳の子どもを保育する事業施設のことです。
保護者が共働きや介護などで家庭で保育のできない保護者のみ利用可能です。
地域型保育にはさまざまな施設があって、定員5人以下の施設もあれば、6人から19人のお子さんを保育する場所もありますし、会社の事業所内に併設されている保育施設などもこれにあたります。
幼稚園・保育園の無償化について正しく理解するには
令和元年10月から始まる、幼稚園・保育園の無償化に関する制度ですが、内容が結構複雑です。
内閣府の公式HPには、幼稚園・保育園の無償化のページがありますので、そちらもご覧ください。
とは言え、お子さんの年齢と、保護者が共働きかどうかで何号認定となるかは決まってしまうので、その条件の下で利用したい幼稚園・保育園のことを調べるのがとても大事です。
特にもうすぐ幼稚園・保育園に入れたいと考えているご家庭は、狙っている幼稚園・保育園に直接問い合わせてくださいね。